なんでもそつなくこなす普通の女の子になりたかった。
思えば、昔から自分以外の誰かになりたい人生だった。
自分が所属していた部活で部長をしていた先輩、しっかり者できれい好きな同級生、かわいくて世渡り上手な隣のクラスのあの子、はたまた部活でリーダーをしていて指定校で某有名私大に行ったあの子、頭がよくて性格もよくて大学卒業後に国家公務員になったあの子、などなりかった人は非常に多岐にわたる。
なりたかったんだ。美人ではないけど清潔感があって、地味だけど芯があってしっかりしているーそんな普通の女の子に。
よく、人からかわいくなりたかったという話を聞く。
私はどちらかというと、周りからちやほやされるかわいい女の子より、
しっかり者で、そつがないごく普通の女の子になりたかった。
いまだにこの手の女の子にはコンプレックスがあり、話すと緊張してしまう。
自分が発達障害傾向持ちだからそう思うのかもしれないが、
女子の世界というのはびっくりするくらいレベルが高い。
忘れ物をしたり、遅刻をしたりといった失敗をしたりする定型の女の子を、私はあまり見たことがない。
細やかな気配りもできるし、いざというときは矢面にも立てる。
私が女子高時代に見てきたのはそんな人ばかりだった。
あこがれた。あんな風になりたいと願った。追いつきたくて努力した。
当たり前のように長期的な友人関係を築きたかった。
長期的な努力をしていい大学に入りたかった。
大学でまじめに勉強して結果を残したかった。
入社後は同期とそつなく仲良くなりたかった。
私、もっと頑張りたかった。でも、できなかった。
頭の中は常にまとまらず、頑張れば躁になり燃え尽きて鬱になる、
少しのことで疲れる、自分はなりたい人たちにはなれないと知った。
そもそも、人は自分以外のものにはなれないし、自分からは逃げられない。
でも、私は10数年以上、ずっと自分以外のだれか素敵な人になりたかった。
そしてまさか、自分のみっともなさを受け入れて理解できるまで、こんなに時間がかかるとは思わなかった。
そんな気持ちを、ここに供養します。